「今年の利益をどう伸ばすか」を考えるとき、多くのEC経営者は、新しい販促施策や仕入れの見直しに目を向けます。しかし、目の前の利益を静かに圧迫し続けている、最大の「穴」に気づいていますか?
それは、社員の貴重な時間を浪費している「見えない事務コスト」です。
EC事業では、受注データ入力、在庫の突き合わせ、請求書の発行、返品対応履歴の検索など、売上に直結しない「守りの作業」が毎日発生します。これらの作業は「当たり前」と見過ごされがちですが、これらに費やされている時間は、実は「ドブに捨てている年間数百万円」と表現しても過言ではありません。
本コラムでは、貴社のEC部門に潜む「見えない事務コスト」の具体的な正体を暴き、そのコストが利益率に与える深刻な影響を具体的な数字で解説します。
なぜ「探し物」や「入力作業」が300万円の損失になるのか
1. 日本人が浪費する「時間」の衝撃的なコスト
ある調査によると、日本のホワイトカラーの社員は、1日に平均で約2時間を「情報や書類の検索」や「非効率な入力・集計作業」に費やしていると言われています。
これをあるEC事務部門に当てはめてみましょう。
- EC事務担当者10名
- 1人あたり1日2時間のムダ
- 年間250営業日
この計算では、この部門は年間で約5,000時間もの非生産的な時間を費やしていることになります。
さらにこれを人件費に換算します。月給30万円(時給約1,875円)の社員であれば、年間約300万円という巨額の費用が、「書類を作る」「データを探す」といった、本来は自動化できる業務に消えていることになります。
この300万円を、新たな販促ツールへの投資や、優秀な人材の獲得費用に回せていたら、どれだけの利益を生み出せたでしょうか?
2. EC業務の「3大ムダ作業」が利益を圧迫する
特にECサイトの現場で、この「見えないコスト」を生み出しやすいのは、以下の3つの作業です。
- ムダ 1:データの二重入力・手作業での突合
ECモールからの受注データを基幹システムや在庫表に手作業で入力し直す。この作業はヒューマンエラーを生むだけでなく、そのチェック作業も含めて大幅な時間ロスにつながります。
- ムダ 2:申請書類や経費精算書類の「検索時間」
過去の取引履歴、特定の顧客の対応記録、承認済みの経費書類など、必要な情報が紙やファイルサーバーの奥に眠っていて、探すのに10分以上かかる。その10分間は、顧客対応を待たせている時間でもあります。
- ムダ 3:月末・月初に集中する「集計と報告」
Excelなどで売上、在庫、返品率などを手作業で集計し、報告書を作成する。この作業のためだけに、通常業務が滞り、残業が発生していませんか?
これらは全て、「事務職の仕事」として見過ごされがちですが、実は「企業の利益を食いつぶすムダな作業」なのです。
まとめ:利益を生む経営者が次に取るべき行動
ECサイトの利益を伸ばすには、まずは「ムダなコストを徹底的に削減する」ことが最優先です。新しいことを始める前に、まず「やめるべきこと」を決める必要があります。
ご紹介したような「事務作業」は、もはやITツールで「ゼロ化」できる領域です。
次回のコラムでは、この「ムダな時間」を、どうやって「顧客満足度アップ」や「売上向上」という「攻めの時間」に変えていくのか、具体的な戦略と成功事例をご紹介します。